人はどうしても相手よりも自分の立場を守ることを優先してしまいます。
特に過酷な環境であればあるほど、自分を守るのが精一杯で相手のことを思いやるのはどうしても二の次になってしまいます。
さらにお偉いさんからの指示だと何がなんでも死守しなければならないというのが社内の常識でした。
しかし会社員時代にこのような常識を覆す上司がいて、私の中の会社員としての常識が一気に吹っ飛んでしまいました。
そして、もし彼が困っていたら自分を犠牲にしてでも全力で助けたいと心の底から思ったので、今回記事にしてみました。
会社員時代のほとんどの上司たちは自分のチーム、もしくはグループが課せられているノルマを期限内に完璧に終わらせることばかりを考えていました。
お偉いさんから莫大な業務量を付与されても、
- これを全てやり切ったら認められて出世できるかも
- マネジメント力が高いと認められたい
- お偉いさんからの指示なので断る権利はない
と、いとも簡単に引き受け、自分と部下たちで均等に分け、場合によっては土日を犠牲にしたりし、
みんなで疲れた身体にムチを打ちながら長時間労働をするのが当たり前になっていました。
お偉いさんからの指示であれば、何があっても死守するのが社内の常識中の常識でした。
お偉いさんからは「何としてでもやり切れ」と叩き込まれているので、部下のことを考えてる余裕などありません。
性格の良い上司でも部下よりも仕事を片付けることばかりに囚われていました。
そんな中、グループリーダーにしてはかなり若いTさんという上司にめぐりあいました。
Tさんは自分の立場や上からの評価よりも、部下のことを一番に考えられる人間的にすばらしい方でした。
Tさんは技術員としてのスキルが誰よりも、ずば抜けているので上司にゴマをすらなくても簡単に出世できる実力を持ち合わせていました。
私がTさんに「今日は体調不良なので出社しないで在宅勤務にしてもいいですか?」と電話をしたところ「仕事なんかしないで有休取ってゆっくり休みなよ」と体調をねぎらってくれたときには感動しました。
もし私がその日に仕事をしなかったら、そのしわ寄せがすべてTさんにふりかかるのに、そんなこともお構いなしに私の体調を心配して「休みなよ」と言ってくれたのです。
入社して以来、そんな上司は初めてだったので、しばらく感動してウルウルしていました。
またTさんは、お偉いさんからありえない量の仕事を付与された際も、すぐに引き受けずに「この量だと自分のグループでは消化しきれないからもっと人を増やしてほしい」と交渉したり、
自分の立場を一切考えずに部下のことを一番に考える方でした。
そんなTさんを見ているうちに、自分も見習わなければと強く思うようになりました。
そしてTさんがピンチの時は自分を犠牲にしてでも全力で助けたいと心の底から思い、私以外のTさんの部下たちもみんな私と同じ気持ちでした。
自分のことばかりを考えずに、他人を思いやれる人はいざという時にも周りから助けられます。
Tさんのことは一生忘れてはいけないと思いました。