会社員時代、人の意見を否定したり、口論になったら相手を言い負かして悦に入っていた同僚の男性Eさんのことを思い出したので記事にしてみました。
私が入社したばかりの頃のEさんは人の話を否定もせずにニコニコ笑って聞くような人でした。
しかし私が退職する頃には、Eさんは気に入らない意見や自分が不利になる意見に対しては全否定して攻撃するぐらいのねじ曲がった性格に変貌していたのです。
ありとあらゆる屁理屈を述べて相手の意見を捻じ曲げます。
異常なほど口が達者になっていました。
全て、相手の意見を論破する実力まで持ち合わせているのです。
上司が注意しても最後は上司の方がタジタジになり逃げるぐらいでした。
昔のEさんは先輩に何か言われても暗い表情で黙っているだけでした。
Eさんなりにつらいことや悔しいことがあったのは想像できますが、ここまで変貌するのはEさんの元々の資質なのかはわかりません。
ある日、Eさんと話す機会がありました。
Eさんは「昔に比べて俺、言い返せるようになったでしょ。議論系の本を読んで勉強したんだ」と得意げに言ってきました。
客観的にみるとEさんの意見が正しいというよりは、Eさんが有利になることばかりを主張している自己中極まりない意見ばかりでした。
そして自分の仕事が増えるような意見には得意の論破で業務を誰かに押し付けるようにもなりました。
そんなEさんはみんなから爆発的に嫌われるようになりました。
しかし、嫌われる原因も自分であることに気がついていないのか、全て周りの人たちのせいにしていました。
人それぞれ違う人間で、この世に同じ人間など一人もいないのです。
人の数だけ、意見があり、人と意見が違うのは当たり前なのです。
争い事が起きる原因は相手の意見を尊重せずに、一方的に自分の意見を押し付けるからなのです。
例え自分の意見と違う意見が出ても、否定するのは間違いなのです。
最近の私は自分の視野を広げるために自分とは真逆の意見も参考にするようにしています。
自分を中心に物事を見るとどうしても物事の一面しか見えず、自己中な考えになってしまうこともあるからです。
逆に「私」、「私のもの」という思いを外し、客観的に見るとさまざまな視点から物事を見ることができます。
そしていろんな人たちの気持ちや立場に立って考えることで、思いやりを持つことができ、人間的にも成長できるのです。
Eさんは論破力を磨くのではなく、思いやりを磨くべきだったのです。
今の私ならEさんにアドバイスできるのに、あの当時、アドバイスできなかったことを悔やんでしまいました。
論破力を鍛えられたように、人間としての優しさや思いやりも鍛えれば鍛えるほど上達できるのは確かなのです。