現在、香料を使った商品がたくさん販売されています。
香料には精油などの自然界の花や木などの香りをそのまま抽出した天然香料と石炭化学工業、パルプ工業などから大量に入手できる化合物から合成して作られる合成香料の2種類があります。
香りは鼻から吸収されると、直接、脳や神経に影響を及ぼします。
匂いを持った分子が鼻の嗅神経を経て、原始の脳である大脳辺縁系にダイレクトに伝わります。
そのため、香りは自律神経系や内分泌系、免疫系に影響を及ぼします。
分子が小さいので、皮膚に塗ると吸収されて血中まで届きます。
天然の香り成分である精油は、自然界の花や葉や木、果物などの香りを蒸留したり、搾ったりして抽出したもので、紀元前3000年の古代エジプト文明の時代から存在しています。
こうした香りを使ったアロマテラピーはイギリスではリラクゼーション、フランスでは自然治癒力を高めるものとして長い歴史があり、現在も医療現場やエステで広く使われています。
日本でも、近年アロマテラピーを医療に使うという流れが起きていて、PMSや更年期障害、認知症の治療などにも使われています。
しかし、日本で化粧品や洗剤や柔軟剤、芳香剤などに使用されている香料のうち、約95%が合成香料です。
天然香料(精油)は約5%程度しか使用されていません。
昔は香料は天然香料しかありませんでしたが、19世紀頃から石油化学工業やパルプ工業などから大量に入手できる化合物を原料に天然香料中の成分を真似るところから始まりましたが、
現在は新しく化学的に合成する技術が発達し、とても安価に残香性の高い合成香料が500種類ほどできています。
近年、高残香タイプの柔軟剤や匂いの強い消臭剤が流行したこともあり、合成香料で体調不良を訴える人が増加しつつあります。
イギリスの科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」に発表された研究では、消臭スプレー、ヘアスプレーを毎日使う女性は週に1回未満の女性と比べると頭痛持ちの割合が25%、出産後のうつ病の割合が19%高かったそうです。
こうした製品に含まれる化学物質が、身体の抵抗力を弱めることも指摘されています。
香りは天然であっても合成であっても分析すれば一つ一つは化学物質の組み合わせです。
しかし例えば合成香料をどんなに駆使しても、いまだに本物のバラの香りすら再現することはできません。
自然界に存在する香りと合成香料は根本的に違うのです。
香りは天然の精油を選ぶようにして下さい。
しかし、たくさんの木や植物が人間のために犠牲になっているので、感謝を忘れてはなりません。
参考になれば幸いです。