腸内フローラは免疫も左右する

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食べたものを消化、吸収し、いらないものを排出する腸。

栄養の8割を吸収する小腸は長さが約8mです。

ヒダがあるので、広げるとテニスコート一面もの大きさがあります。

小腸で吸収されなかったものを分解して再吸収をしながら、いらないもので便を形作るのが1.5mある大腸の役割です。

腸内にすみついている腸内細菌は約1000兆個で、重さにすると約1.5kgです。

腸にはビフィズス菌、乳酸菌、腸球菌などの善玉菌と、ウェルシュ菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの悪玉菌がすんでいます。

圧倒的に多いのが、役割がまだよくわかっていない日和見的な土壌菌です。

これらは人によって、または日によって様々なバランスで生息していて、腸内フローラ(お花畑)と呼ばれています。

善玉菌が多いと有用な短鎖脂肪酸やビタミンを合成してくれますが、悪玉菌が増えすぎると毒素や発がん物質をつくって腸内腐敗を起こしやすくなります。

理想の比率は善玉菌3 :悪玉菌1 :日和見菌6と言われています。

腸には食べ物と一緒に外から有害物質や病原菌などあらゆる外敵が侵入してくるので、「内なる外」とも言える場所です。

そのため、小腸には全身のパトロール隊であるリンパ球の約60%、大腸には約10%が集まってきており、抗体の約60%は腸内でつくられていることが最近の免疫学でわかってきています。

腫瘍免疫という、がん細胞に特異的に働く免疫も約80%が小腸にあるそうです。

腸に乳酸菌などの善玉菌が多いと、外敵をやっつける抗体をつくる生産性が上がることがわかっています。

また、善玉菌が多いとアレルギー反応を抑えるTh1細胞の働きが優勢になることもわかっています。

そして乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は乳酸や酢酸などの有機酸を生み出すので、例えばO-157などの病原性を持つ大腸菌の増殖も防ぎます。

腸内フローラは肌の美しさにとっても重要です。

乳酸菌などの善玉菌は腸内でビタミンB1 、B2、B6、B12、ビタミンK、パントテン酸、葉酸、ニコチン酸、ビオチンなどを合成したり、生成に関わっていることがわかっています。

例えばビオチンは肌の角質層のうるおいを保ち、抜け毛も防いでくれるビタミンですが、外から摂取しても、腸内の善玉菌の働きがない限り、体内で吸収できる形にできません。

また目尻のシワの進行を抑えたり、肩こりを和らげたり、骨粗しょう症を予防したり、更年期障害を軽くしたり、乳がんを予防したりするエクオールという成分は、大豆イソフラボンから腸内細菌が変換してつくります。

日本人の50〜60%はエクオールをつくれますが、欧米人では20〜30%の方しかつくれません。

日本人でも食生活が欧米化し、大豆製品を食べない若者を中心にエクオールをつくれなくなっているそうです。

ビオチンもエクオールも、腸内細菌がつくる美肌成分です。

腸内細菌の量が少なく、かつバランスが悪ければ、良い栄養素もつくれなくなってしまうことがあるのです。

肌の美しさにも関わる腸内フローラですが、人格形成にまで関わっている可能性があります。

脳内の幸せ物質であるドーパミンや情緒を安定させるセロトニンが体内で合成されるときには葉酸やビタミンB6が不可欠ですが、これらは腸内で善玉菌たちがつくり出している代表的なビタミンです。

また悪玉菌が分泌する硫化水素とアンモニアは神経毒なので、腸内で微量でも神経に接するとイライラを招き、ストレスが高じてきます。

反対に、乳酸菌は硫化水素とアンモニアを分解してアミノ酸に変換し、セロトニンやドーパミンを合成することがわかっています。

腸内善玉菌を増やす食べ物

免疫力や肌の調子、性格にも関わっている大事な腸内フローラですが、

日々の生活習慣や食べ物で、できる限り環境を良くしていきたいものです。

ここではすぐに実践できる摂るべき食べ物を紹介します。

不溶性食物繊維の多いもの

ごぼう、おから、大豆、インゲン豆、干ししいたけ、切り干し大根、さつまいも、かぼちゃなど。
便の量を増やし、ぜん動運動を促す。

水溶性食物繊維の多いもの

海藻、寒天、大豆、エシャロット、らっきょう、納豆、ごぼう、アボガド、モロヘイヤなど。
便が硬い時、軟らかくしてくれる。
不溶性2:水溶性1のバランスが理想

ネバネバ食品

粘りやぬめりがある食品は多糖類という水溶性食物繊維が多く、これらが善玉菌をとても増やし、免疫を上げる。
オクラ、納豆、めかぶ、モロヘイヤ、山芋、里芋など。

オリゴ糖の多いもの

6gのオリゴ糖を2週間毎日摂取すれば、10%しかいなかったビフィズス菌が2週間で50%に増えた例もある。
玉ねぎやバナナ、蜂蜜、大豆、ごぼう、味噌、ヤーコン、アスパラガスなどがおすすめ。

アロエベラ

多糖類がとても多いだけでなく、200種類以上の有効成分を持つ。
下痢の時は水分を吸い、便秘の時は水分を供給する作用もある。

植物由来の乳酸菌

植物由来の乳酸菌は胃酸や胆汁にも、簡単にやられずに腸まで届きやすく、自分の善玉菌を賦活する。
納豆、生味噌、ぬか漬け、キムチ、すぐき漬け、塩麹漬け、粕漬け、ザワークラウトなど。

悪玉菌を増やしてしまう食べ物

逆に、悪玉菌を増やして腸内フローラを悪化させてしまう生活習慣や食べ物もあります。

便秘に悩んでいる人は思い当たることもあるかと思います。

こうした事はできるだけ避けて、腸内環境を良くしていくことを心がけましょう。

肉の食べ過ぎ

肉のタンパク質は悪玉菌が大好きな餌。近年糖質制限して肉食を奨励する健康法もあるようですが、ウェルシュ菌、ディフィシル菌などの悪玉菌は動物由来のタンパク質を分解して有害物質をつくり出すことがわかっている。

動物性脂肪、揚げ物の摂りすぎ

動物性脂肪、揚げ物などの酸化した油も悪玉菌の大好物。
また脂肪分解のために胆汁酸が多くつくられ、そのうちの5%は2次胆汁酸という強力な発がん物質になる

合成保存料、抗生物質

防腐剤や保存料、pH調整剤が加工食品に使われすぎている。
菌を抑制するための化学物質なので腸内細菌への影響もある。
また抗生物質は病原菌だけでなく良い菌も殺す。

便秘、便の我慢

大腸での便の滞在時間は12~48時間。
便秘で滞在時間が延びると腸内で腐敗して悪玉菌が増殖しやすい。
また便意の我慢が慢性的になると、直腸が刺激に慣れてしまい、便意が起こらなくなったり弱くなったりしてしまう。

ストレス

ストレスで交感神経が優位になり不安と緊張が高まると悪玉菌が増えてしまうことがわかっている。
胃腸の働き自体も落ちる。

小麦グルテン

品種改良された外国産小麦のグルテンに増えているグリアジンというタンパク質が腸壁を傷つけて炎症を起こしやすくしてしまい、大きい分子が腸から血中にいくことでアレルギーを引き起こすリーキーガット症候群が問題になっている。

私は農薬、添加物、化学物質を避け、善玉菌を増やす食べ物を多く摂り入れ、悪玉菌を増やす食べ物を減らした結果、肌荒れが治り、便秘も解消され、体調も驚くほど良くなりました。

以前は定期的にひいていた風邪も、今では風邪をひかなくなりました。

善玉菌を増やす食材はオーガニックのものを選ぶようにしましょう。

野菜は自然栽培のものを購入するか、自分でつくるのが安心です。

(参考記事 野菜、果物の農薬には要注意!

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